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大学卒業後の経験を糧に
子育てをしながら夜間部で学ぶ

向田千早子 さん

整形外科クリニックでリハビリ助手として働きながら、夜間部に通う向田千早子さん。小学生のお子さん二人を育てる母として、そして仕事と学業を両立する社会人学生として、日々どのように過ごしているのか。大胆なキャリアチェンジを果たした向田さんの想いをお届けします。

4年制コース 1年生
(2026年5月現在)

向田千早子 さん

向田千早子 さん

さまざまな職業を経て
辿り着いた
理学療法士への道

──まずは、現在に至るまで向田さんがこれまで歩まれてきた道のりを教えていただけますか?

私が就職活動をしていたタイミングは氷河期だったこともあり、大卒でも事務職の求人が中心で。それでも全然内定がもらえず、方向転換をしてビューティーカウンセラーとして就職。百貨店のカウンターで接客業務を4年ほどしていました。その後、結婚・出産を経て、IT系の事務職に転職しました。
 さらにキャリアチェンジを考えたときに、“子育てをしながら続けられる仕事”に就きたいと思いました。そこで、いくつかの候補のなかから選んだのが医療事務職のパートでした。「医療事務を一度経験すれば、病院はたくさんあるから、辞めても別の病院で働ける」と思ったのです。ただ、もともと医療業界に興味があったこともあり、“さらに医療に携わりたい”という思いが強くなり、8年勤務したのち整形外科のリハビリ助手として今の職場に就職しました。「理学療法士のリハビリの補助」という業務内容に興味を抱いたことが動機の一つでした。

──リハビリ助手として働くなかで、理学療法士を目指すようになったきっかけを教えてください。

リハビリ助手を始めた当初は、理学療法士という職業がどんな仕事なのかもよくわかっていませんでした。身体の知識に長けた専門的なトレーナーのようなイメージでしたね。それが実際に働きはじめ、患者さんの悩みに寄り添う理学療法士の姿や、身体の状態が良くなってリハビリを卒業していく方々の笑顔を見ているうちに、「理学療法士って素敵な仕事だな」と感じるようになりました。その仕事ぶりを間近で見てきたことが一番のきっかけです。

──その一方で、向田さんを語るうえで欠かせない要素に「筋トレ」があるとうかがいました。

いまから4年前、下の子が3歳になって夜眠るようになった頃からジムに通い始めました。最初の動機は産後のダイエットが目的でしたね。体重が減っていく以上に、自分の見た目がどんどん変わっていったことが楽しくて続けていました。ジムでパーソナルトレーニングを受けるうちにどんどんハマっていって、今ではボディビルの大会にも出場しています。
 2024年にはゴールドジムが主催する「マッスルゲート東京ベイ大会」に出場。レギンスにスポーツブラという、普段ジムでトレーニングをしている装いで出られる「ウーマンズレギンス」というカテゴリーで3位に入賞しました。さらに、2025年の同大会では「ウーマンズウェルネス部門」において優勝することができました。

通いやすさと少人数制の魅力が
夜間部を選んだ決め手

──理学療法士を目指すにあたり、数ある養成校の中から専門学校東京医療学院の夜間部を選んだ理由を教えてください。

今のリハビリ助手の仕事を続けることが大前提だったので、最初から夜間部で学校を探していました。一番の決め手となったのは通いやすさです。それに加えて、現在勤めている職場に専門学校東京医療学院の卒業生の方がいたことも大きなポイントでした。学校を探していると話したときに「俺、そこの卒業生なんだ。いい学校だよ。」と言われて、その一言で「そこにしよう!」と決めました。

──理学療法士になるために専門学校に入学することをご家族に告げたときの反応はいかがでしたか?

夫は最初「マジか!」という反応でしたね(笑)。もともとトレーナーになりたいという話をしていたので反対まではされていませんが、理学療法士なら働く時間帯も子育てと両立しやすいし、生活も安定すると伝えて説得しました。私のやりたいという気持ちを汲んでくれて、最終的には応援してくれています。休日の夕方などみんながゆっくりしている時間には、「子どもたちを見ているから勉強してきなよ。」と声をかけてくれるなど、サポートしてくれて安心しています。

──実際に専門学校東京医療学院に入学してみていかがでしたか?

先生との距離がすごく近いです。担任の先生も顔を合わせるたびに「大丈夫?」と気にかけてくれますし、クラスの人数が少ないので休み時間もみんなで自然と話せる雰囲気があります。学生は、18歳の高校卒業直後の方から年上の方までさまざまなのが夜間部の特徴だと思います。
 たとえば、社会人を経験しているとPDCA(※1)をまわしていくのが身についていますが、18歳だとそれを実践することはまだまだ難しいものです。それをアドバイスしてあげるのも私の役目だなと感じています。逆に、お子さんが大学生とか社会人の方もいらっしゃるので、子育てを経験された先輩から具体的なエピソードを聞かせてもらっています。家庭と仕事だけでは得られない関係が築けていると感じます。約20年ぶりの学生生活ですが、当時を思い出しながら純粋に楽しんでいます。

※1 Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つの段階を循環させて業務の品質や生産性を継続的に向上させること。

「仕事」「子育て」「学業」という
3つを両立させる毎日の工夫

──リハビリ助手の仕事、子育て、そして学業の3つを両立するのは大変だと思います。実際にどのようにされているのでしょうか?

入学前は、子供たちは大丈夫か、私がいない間でも夫はちゃんとやってくれるか、自分の体力は持つのかなどなど不安に感じていました。でも、いざ学生生活が始まると、思っていたよりも回せているという感覚があります。筋トレを続けてきたおかげで体力には自信があったのですが、テスト前になると体力だけでなく気力も必要になるので、そこは精神的につらい時期もありました。それでも、疲れた時は勉強も放棄してよく寝るようにしています。時には甘いものを食べたり、あまり我慢はしないようにして過ごしていますね。
 もちろん、夫婦二人だけで乗り越えていくのは難しいこともあります。そこは、お互いの父母が近くに住んでいるということもあって、夫の帰りが遅い時などは協力してもらっています。

──お子さんとの時間はどのように確保していますか?

通いやすさで学校を選んだとはいえども、帰宅するのは夜10時半頃。子どもたちはもう寝ている時間です。ですので、平日に顔を合わせるのは朝の身支度の時間だけ。最初は下の子も寂しくて泣いてしまうこともあったのですが、学校帰り、最寄り駅までの15分ほどをビデオ通話にあてる時間にしていて、それが子供たちにとって就寝前のルーティンになりました。夕飯は出勤前の朝のうちに準備しておきます。帰宅した夫が夕飯の準備をしてくれるので、必然的に電子レンジで温めたり、鍋に火をかけて温めるだけといった簡単なメニューが中心になります。役割分担としては、夫は夕飯の準備の他にも洗い物や子供たちの学校の用意を主にやってくれています。

──まとまった勉強時間の捻出も向田さんにとってのテーマだと思いますが、どのようにされていますか?

配られたプリント類は全部スキャンしてPDF化し、移動中の電車で見返すようにしています。テスト前はリハビリ助手の仕事の休憩時間や、休日は子供たちの習い事の待ち時間も貴重な勉強時間に充てています。上の子はラグビー、下の子は新体操を習っているのですが、待ち時間に近くの公民館の一室を借りて集中して勉強するようにしています。一方で、自分の時間をなかなか確保できないというのも悩みの一つでもあるので、学校帰りに30分だけでもジムに寄って身体を動かそうかなと考えています。
 筋トレで得た知識も勉強には役立ってくれていて、トレーニングを通して身体の仕組みを体感してきたので、学校の授業で聞く筋肉や動きの話もすごくイメージしやすいんです。実感を伴って学べているのは、筋トレ経験のおかげだと思います。

──向田さんが目指す理学療法士像を教えてください。

妊娠・出産や子育てを経験して、女性はライフステージによってさまざまな不調が出てくることを実感しました。自分自身も産後に腰やお尻の痛みで歩くのがつらい時期もありましたし、赤ちゃんを抱っこしたりミルクをあげたりする動作で腱鞘炎になる方も多いと感じていますし、実際に今の職場にもそうした不調で受診される方がいらっしゃいます。そうした女性ならではの不調に寄り添える理学療法士になっていきたいと思っています。

向田千早子 さん

受験生へのメッセージ

とりわけ社会人になると新しいことをはじめるハードルは高くなると思います。すごくエネルギーを費やすことになりますし、不安ばかりが膨らんでいきます。不安の方が勝ってしまって、なかなか一歩を踏み出せないという方は多いと思います。
 でも、私自身が実際にやってみて、「不安なことよりも得ることの方がずっと多い」と感じています。夜間部では、いろいろな世代の方と接することで学ぶことも多いです。寂しい思いもさせてしまっているとは思いますが、子供たちも自分で考える力が育っているように感じます。専門学校東京医療学院での学校生活を通して、むしろ家族の絆が深まった実感もあります。仕事・子育て・学業の三つを同じ力量で取り組むことは、大変です。それでも、やって良かったと思っていますし、後悔していることは何もありません。ただ不安というだけで諦めてしまうよりも、まずは一歩踏み出してみてほしいです。それは決して大層なことではなく、踏み出せばその勢いで前に向かって進んでいけると思います。

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