こんにちは!
AI(人工知能)が普及し、ChatGPT等のツールを勉強や仕事で使う機会も増えてきました。
2013年、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン氏が発表した論文にて、
「AIが導入されれば、47%の雇用が影響を受ける可能性」との試算結果を発表し、AIは怖い技術だという印象が国民にも広がりました。
将来、AIに職を奪われる職業や、逆にAIに奪われない職業などの記事もよく目にするようになりました。
本当は、このNEWSで、理学療法士は「AIに奪われない職業」ですよ~的な内容を書こうと思っていたのですが、
今回の記事の参考にした文献を読んで、もっと大切なことがあると思わされたので、本NEWSで発信してみたいと思います。
参考にした文献⇒
K.ATAKA,D.CHEN,T.YAMAGUCHI,I.YAMAMOTO;Talk session Living in harmony with Artificial Intelligence: Will AI replace your work?
医療職はAIに奪われない職業としてよく紹介されますが、
そもそもAIは「特定の用途の自動化」を膨大なデータを基に高速で行うためのツールであり、AIが「知覚」することはなく「意味理解」をしません。
ですので、AIは与えられたデータから自分自身で適切な「問い」を発することもできず、AI自らが課題解決することはできないのです。
すなわち、事務仕事であれ、ルーティンで行われる「作業」はAIで自動化できますが、AIに目的を与えたり、作業の課題を発見するには、「ここがもっと効率よくなったら〇〇さんが楽になるだろうな~」という、人間の「他者を共感する能力」が大切なのです。
理学療法士の仕事に置き換えると、患者さんの姿勢や動作を力学的に分析して症状の原因を挙げたり、症状に対する治療法のマッチングをすることはAIにもできるかもしれません。
しかし、患者さんやご家族の苦痛や思いに共感し、患者さんから発せられた回復へのHOPE(願い)を訊き、それを理学療法士がNEED(実現可能なHOPEを可能にする提案)の形にできるかどうかで、患者さんのリハビリへの意欲も変わりますし、ご家族の対応も変わり、自宅退院できるかどうかにも関わってきます。
理学療法士の仕事に限らず、これからの時代は知識や技術そのものだけでなく、新しいことを経験し、新しいことを考えるという「知的体験」や、
人と人との関係の中でしか体験できない「人的な体験」が大切になります。
当校の環境をふりかえると、専門学校東京医療学院は少人数制で、昼間部32名、夜間部30名の1クラスずつです。
人間関係も常に良好というわけには行かず、軋轢が生じたり、納得いかないことが起こったりもします。
しかし、それこそが「人的な体験」であり、新しい体験になり、「思索」を深めて「意味理解」を深めるきっかけになります。
他者を深く知ることでしか「他者を共感する能力」は育たないのです。
我々の学生への願いも、知識や技術、科目の点数よりも「他者を思いやるチカラ」を養ってほしいと思い、日々学生と関わっています。
それが、これまでも、そしてこれからは今まで以上に人生にとって大切なチカラになると思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!